飲み忘れを防ぐために

多くの薬では、「1日3回食後」であるとか、「1日2回朝食と夕食の後」あるいは「1日1回寝る前」といったように、薬を服用する回数とタイミングが決められています。
しかし、風邪や痛みなど、すぐにでも困った症状をどうにか止めたいといった緊急の状態の時は、まじめに薬を飲んでいても、少し良くなって症状が落ち着いてしまうと、薬のことなどすっかり忘れてしまう…という人は少なくないのではないでしょうか。

そのため風邪を引いて病院にいっても、処方された薬を最後まで飲みきったことがなく、中途半端な薬が家の引き出しにごろごろしているという人も珍しくないでしょう。
もちろん、風邪のように症状が改善されれば薬の服用をやめてもよい病気の場合には、そういった飲み方でも問題はありません。

しかし、生活習慣病や慢性疾患の類いなどでは、こういった薬の飲み忘れは、病気の症状を悪化させる大きな要因のひとつとなってしまうのです。

ところが、患者さんというのは薬を飲み忘れて先生に怒られることを恐れ、飲んでいないにもかかわらず「薬はちゃんと飲んでいます」などと言ってしまうもの。
しかし、薬を飲み忘れて症状が悪化した場合と、薬を飲んでいるのに悪化した場合では対応が変わりますから、これはいけません。

そのため、生活習慣病や慢性疾患の場合においては、しっかりと薬を飲み続けることができるように工夫をすることが必要になります。
たとえば、最近アイディアグッズとしてよく見かけるのが、1か月のカレンダーになった透明なビニールでできたウオールポケット。それぞれの日付のところには、3つか4つのポケットになっており、朝・昼・夕・寝る前と、その日の分の薬を入れて置くことができるのです。

このようになっていれば薬を飲んだかどうかは一目瞭然ですし、外出先に薬を持って行きたい場合には、ポケットの該当箇所から抜き出していけばいいのです。
この仕組みは、薬を飲んでいる本人が自己管理をする意味でも非常に分かりやすいですし、家族がそれをサポートするにも便利です。

また、小さなお子さんの場合には、これでは少し味気ないと感じるかもしれません。
その場合、カレンダーになっている台紙に、薬を飲んだらシールをはる、などという楽しい仕組みを用意することも有効ですよ。
子ども用のシール台紙やシールは小児科の病院や、小児科の薬をあつかう薬局に置いてあることがあるので、気軽に声をかけてくださいね。